愛すべき、3人のおっさんたち
哀愁を笑いに変える“おっさん力”炸裂!
『三匹のおっさん』上演スタート 今月26日(木)まで
昨年来のテレビシリーズが大ヒットして話題になった 有川浩(ありかわひろ)の短編小説シリーズ『三匹のおっさん』の舞台版が、いよいよ博多座に登場します。
還暦を過ぎたかつての悪ガキ3人組が、「俺たちのことはジジィと呼ぶな。おっさんと呼べ」と家族に内緒で自警団を結成。
この3人が、ご近所に潜む悪を斬る!その活躍はやがて世代を超えて、妻や子ども、孫たちを巻き込み、暴れん坊将軍よろしく、はたまた遠山金四郎よろしく、さまざまな事件を解決していきます!
けして、他人ゴトではありませんよ。貴方のご主人、あなたのお父さん、アナタのおじいちゃん… そして、貴男自身に!人生の荒波を超えて生きぬく力を、笑いと涙でメッセージ!
ここでご紹介するのは そんな「おっさん」の取り扱い説明書。
「他人ゴトじゃないぞ!」
アラウンド還暦(アラカン)世代を理解する
4つのポイント
1. キャスティングの妙!?
世代だけが懐かしめる “あの顔ぶれ”に、涙する。
出演者は舞台版オリジナルの豪華な顔ぶれ。 今回、下記の4方にお話を伺い、この博多座の舞台を楽しむポイントをご紹介します。
■永遠の暴れん坊将軍!
松平健=剣道の達人「キヨ」
■軽妙洒脱な歌舞伎俳優
中村梅雀=機械いじりの達人「ノリ」
■初代御三家、往年のアイドル
西郷輝彦=柔道の達人「シゲ」
■才色兼備!「竹下景子に3000点」
竹下景子=キヨの妻「芳江」
2. 最後に愛は勝つ! やっぱり“お白洲(しらす)”がお好き?
“ゾーン”は勧善懲悪の現代劇。
松平健さんを筆頭に出演者は時代劇に縁の深い面々ですが、今回の物語は現代劇。とはいえ、分かりやすい痛快な勧善懲悪を描いているのが見どころの一つでしょう。どこにでも居そうなフツーの“おっさん”像は、立ち上がりから、十分な親近感を覚えるはずです。そう、おっさんのツボ(“ゾーン”)は、天晴れな痛快お裁き!
——今回は現代劇ですが、家族ドラマ、人情味を描きながら勧善懲悪のストーリーを展開。『暴れん坊将軍』、『遠山金四郎』といった役柄を演じたお二人に一言。
松平:『“現代”は初めて』
「私は舞台で“現代”というのは初めてなんです。サラーリマンひと筋、仕事ひと筋で定年を迎えたキヨという役をやらせていただいていますが、家に帰れば嫁・姑の争いが絶えず、自分の居場所がなかなかないという設定。お客さまに共感していただけるところがたくさんあるはずです。昔ながらの3匹の悪ガキと定年後もまた組んで…。町内の悪い奴をやっつけるなんてところは、どこか時代劇のお白洲(暴れん坊将軍)のシーンに通じる話ですから、このへんはなんだか現代劇と時代劇が交錯?どうぞお楽しみください」。
西郷:『あっ、これはやられたな!』
「私たちに来るお話には、こういうドラマはあんまりないんですね。『三匹のおっさん』はテレビを観て初めて知ったのですが、『あっ、これはやられたな!』ってまず思いました。『なんだい、こういうのがやりたかったんだよ!』って、ピン!ときましたね。そのお話を舞台でやるって聞いたときに本当に嬉しかったです」。
3. “将軍さま”が、負けちゃう!? “カッコ悪く見せる”に苦労!?
それでも愛されるのは そこに「チャーミング!」があるから。
——松平健さんと西郷輝彦さんが、今回難しかったと口を揃えるのが「カッコ悪く」という演出だったそうです。ふだんの舞台やドラマではヒーローを演じることが多いお二人。慣れない演出にとまどったご様子だったとか。
松平:「どれを着ても似合ちゃうんですよ」
「“カッコ悪く見せる”という演出には苦労しました。衣装を選ぶにしてもそう。スーツを着る場面があって…シャツなんてどれを着ても似合っちゃうんです(笑)。それをカッコ悪く見せるっていうのはたいへな苦労でした。あとは立ち回りで負けること。(将軍さまは)今まで喧嘩して負けたことなかったんですけどね、今回は負けてしまう(笑)。だから、やられ方とか慣れてない!(笑)」。
西郷:「出番はジャージ1着!」
「僕はだいたい衣裳といえばきちんとしたスーツとか、足が長く見えるようなパンツとかを履いているんですが、今回はほとんどジャージ1着なんです(笑)。だからそのまんま家に帰ってもいいような衣裳なんですけど、演出家の方から『カッコ良くしないでください。とにかくカッコ悪くしてください。ダサくしてください』と…それがいちばん難しかったかな」。
——いやあ、こんなことを言える“おっさん”は羨ましいですね。
中村:「チャーミング、がポイントなんです」
「それでもこの“おっさん”たちは、何と言ってもチャーミングなんです。松平さんが孫役の大久保祥太郎くんにズタズタに言いくるめられるところなんか、松平さんがカッコ悪く見えて実にいい!西郷さんはべらんめえバリバリで、この世代の男ならではの短気ぶりを代表しています」。
——ところで、女性の目から見たこの、おっさん三人衆はどうなんでしょう?
竹下:「『ワンピース』もびっくり!ですよ」
「この同級生3人組は側で見ていても本当に愛らしいし、チャーミングです。ですから、コミックの『ワンピース』みたいに仲間は大事だなって思いました。一緒にいるだけで分かり合える…本気で喧嘩もするのですが、1日たてばもっと分かり合えている。家庭でも嫁と姑の諍いはあったとしても、楽しく喧嘩できる家庭であれば、きっとおっさんも“いいおっさん”になるのではないでしょうか」。
——一方、男手一つで娘を育て上げたノリ役を演じる中村梅雀さんは、今年8月に25歳年下の妻・瀬川寿子さんが長女を出産し、実生活が演技に好影響をもたらしたのだとか。
中村:「実生活で見えてきた、もう一人のおっさん」
「私自身、今年娘が生れたんです。『この娘を女房がいなくなって私ひとりで育てたらえらいことだな』と思った瞬間から、(ノリの娘役の)宮﨑香蓮ちゃんの顔がぜんぜん違って見えまして。演出家の田村孝裕さんが『ああ、梅雀さん、それくらい溺愛してください』って。おっさんの自分でも自然に変わったなって実感しました」。
4.“おっさん”の活躍は女性の支えがあってこそ!
「ごりょんさん、かくあるべし」が、裏テーマ?
——物語で描かれているのは、おっさんの活躍ばかりではありません。女性の理解…いや、理解しているかどうかは分かりませんが、支えてくれる女性がいるからこそ、おっさんは(多少は)好き勝手できるのでしょう。コレ、博多の男も然り。おっさんが偉そうにふんぞり返っていられるのも、所詮、ごりょんさんの掌のひらの上だったり。
中村:「博多の女性にこそ、見て欲しいですね」
「演出の田村さんは、女性の立場の視線も強調して書き上げているので、女性のお客さんにもグッとくるようです。竹下景子さんの後ろ姿が実に魅力的な場面がありますよ」。
竹下:「家族、どの世代でも楽しめます」
「小さい頃から一緒に育った3人が、還暦を過ぎても友情の絆っていうものを信じてやまない。悪い…まあ“悪い”って言っても大して悪い人じゃないですけど(笑)、悪者をやっつけてくれてスカッとさせてくれる。そこに彼らを支える奥さんや香蓮ちゃんがいる。香蓮ちゃんは娘役ですが、女性の目線も田村さんはきちんと描いてくださっています。そういう意味でも、親子連れの皆さん、ご夫婦、お友だち、どなたにもきっといいお土産を持って帰っていただける作品だろうと思います」
——有川浩ファンのライトノベル世代から還暦過ぎの元気な“おっさん”“おばさん”まで、幅広い層が楽しめそうな『三匹のおっさん』。テレビでは味わえない迫力をぜひ劇場でお楽しみください。
三匹のおっさん
11月5日(木)〜26日(木)
A席/13,500円
特B席/10,000円
B席/7,000円
C席/4,000円
博多座予約センター ☎092−263−5555