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2015.02.02

Monthly Report お知らせ

Monthly Report! topics&recommend! vol.11【めんたいぴりり〜博多座版〜情報/博多座】

福岡人なら、マストチェック!
『めんたいぴりり』舞台化!上演間近!
岸原プロデューサー ロングインタビュー


2013年、TNCドラマで大好評を博し今年2月には続編も放映される『めんたいぴりり』。
今では全国区の明太子も、実は、ある博多の夫婦が汗と涙で作り上げたもの。
この夫婦の生きざま、そして明太子ができるまでを描いたドラマがついに舞台化、博多座で上演されることになりました。
目前に迫った3月「博多座版」開幕を前に、プロデューサー・岸原剛さんにお話を伺いました。

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 『めんたいぴりり 博多座版』
博多座 演劇事業部 演劇事業担当
岸原 剛さん

 

 「博多の劇場としてやりたかった」地元ならではの物語

−−まず、岸原さんのお仕事「制作」についてお聞かせください。
 博多座は歌舞伎やミュージカルなど様々なジャンルの演目を上演しますが、今回の『めんたいぴりり』のように「こういう企画がしたい!」と自社(博多座)で制作するものが少なからずあります。『めんたいぴりり』はTNCさんのドラマを観て感動し、「地元のネタなのになんで僕ら劇場はこんなことができないんだ」と思ったのがきっかけでした。ちょうどその折、博多座も3月の企画を考えていたところだったので「ならば!」とTNCさんにお願いしたんですよ。「ふくや」さんにも了解を得て、実現できることになったのです。

−−ということは、岸原さんは『めんたいぴりり 博多座版』の生みの親、ですね。
 いや、いや、そうはいわないでください(笑)。感動して博多座でも上演できればなあって、いうところですから。それにもともとドラマがあったからこそ、博多座での舞台ができるということですので。

−−こういうケースというのはこれまでにもあったんでしょうか?
 そうですね。武田鉄矢さん(福岡出身)とか、前川清さんも長崎出身ですし(昨年4月に「武田鉄矢・前川清 特別公演」を上演)、『水戸黄門』(2013年3月)では九州を舞台に変えたりとか…そんなケースはあるのですが、『めんたいぴりり』は福岡もど真ん中の、博多・中洲の物語。実在する「ふくや」さん(を題材にする)ということは初めてですね。

−−そのど真ん中、博多座での上演。ここまでど真ん中というのもスゴいですね。
 博多祇園山笠とか、福岡のまちそのものが登場しますので、テレビドラマの段階でも、出演者のみなさん、ドラマを作られたみなさん、かなり神経を使われたと思います。僕ら劇場はそれを“生”でやるので「地元の方々にきちんと観ていただけるもの」に仕上がるよう、今、一生懸命、がんばっているところです。

−−博多発の舞台ということで、東京陣営(出演者、制作スタッフなど)にもご苦労がおありでは?
 従業員(役の出演者はドラマと)は変わってないので福岡の方が多いのですが、酒井美紀さん(海野千代子役)やゲストは東京在住ですし、演出家のG2さんも脚本の中島淳彦さんも、ご出身は違えど今は東京。しかし、福岡についてはいろんなドラマを観たり、あらゆる視点から地元のことを調べて書いていただいたりしてます。方言ひとつでも、地元の人に訊いて直していったり…みんな「福岡に近づこう」と意欲的です。なので、実際は“博多好きの人が集まった”という感じですね。

−−脚本家の中島さん、演出家のG2さん。テレビと題材が同じでも舞台では「お二人だからこうなるだろうな」という予感は何かありますか?
 中島さんは、人間同士の掛け合いというか、いい意味で泥臭い部分が出る作風、と思っていたんですね。ドラマ『めんたいぴりり』は単なる昔の博多の話じゃなくって、掛け合いがすごくリアル。「こんな風に話す人っているよね~」ってクスッと思えたり…。人間臭さが出ればいいと思うし、主役の華丸さん(海野俊之役)も、たぶん華丸さんそのまんま!でやっていらっしゃる感じがしたんですよね。ご本人も「他の役はしきらんですけど、この役やったらできる」って。だから“その感じで書いてもらえる人”、それでいて、舞台について経験豊富で“いろいろを知ってる人”がいい、と思って中島さんにお願いしました。

−−G2さんはいかがですか?
 G2さんの舞台は何度も拝見していて、以前から「博多座で仕事がしたいね」っておっしゃってくださってて。博多もお好きだし。G2さんはミュージカルも手がけていらっしゃるので、音楽的な感覚をお持ちなんです。テンポ感をすごく重用視されるので、この舞台をG2さんらしいビジュアルやテンポ感をもって、新しく作ってくださるって。

−−テレビドラマとはやはり、違う?
 テレビドラマも江口カン監督が、寅さんみたいな世界なんだけど“今風の寅さん”みたいな映像に仕上げていらっしゃったじゃないですか。だから、舞台版もベタベタな演劇じゃなくて、家族で、若い人で、とか「今まで観たことないような人が出てくる、出てくる!」「うわあ、こんなノリもあるんだあ」っていう感じにしたかったのです。

——なんだか、つかめてきました。
 よく「演劇と商業演劇ってどう違うの?」と聞かれるのですが、“こっち(演劇)はアーティストぽっくて、こっち(商業演劇)はコテコテの感じ”というのがおおよそのニュアンスかもしれません。だけど、そんな分け方じゃないやつがいい。普通に芝居が胸にすうっと入ってきて、テンポがいいのができたらいいじゃん!って僕は思ってはいるんですよ。新しい商業演劇の形ができればいいなあって。

−−それは私たちが観たことのないようなものなんでしょうね。
 僕らも作りながら思っています。「なるほど、こんなことか」って思ってもらえばいいですしね。だから今(1月下旬)、面白い感じですよ。やっぱりG2さんは精密機械のように計算された部分がおありですし、中島さんはノリというか空気というか、そこを大切にしてて…。二人のコントラストが面白い。

 

−−ところで、千代子役に酒井美紀さんを起用された理由って何だったのですか?
 これは主役(海野俊之役)の博多華丸さんにもお話ししたのですが、千代子役をしてもらうに当たって、「実際のお母さんがいいなあ」って思ったんです。酒井さんは実生活でもお母さんで、娘さんがいらっしゃるのでお母さんの気持ちがわかるし、夫婦の物語もわかってくださる。また、酒井さん自身もこのドラマを気に入ってくださって、「この世界観が好き。それに舞台も好き」と。物語は、明太子づくりをテーマにはしますけど、家族の話だし、夫婦の話だし、ある意味どこにでもある話。父ちゃんと母ちゃんが喧嘩して何か揉め事があって、でも家族のことを考えて生きているという、わりとシンプルな話だと思うんですよね。だからこのお母さん役はすごく大事で…。

−−主役と同じぐらい…。
 いや、主役ですよ(笑)。

 

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 ドラマとは違う、舞台版(博多座版)の見どころ

−−物語はドラマのストーリーを忠実に再現しているんですか?
 ドラマには戦争までを描いた1時間半の第1部があって、第2部は戦後の明太子づくりを描く15分の連続ドラマ方式の構成だったんですが、この作品はそこがあっての舞台だと思っています。ですから、第1部の俊之と千代子の二人が釜山にいた若い頃の話をどうやって舞台(のベースとなる第2部の部分)で混ぜていくかが重要でした。

——もう少し詳しく聞かせてください。
 年代を追っていくとドラマを追っかけたものになって(舞台としては)目新しくないものになるんですけども、話のエピソードとしては、視聴者のみなさんそれぞれに、ドラマの中で好きだった話があると思うんですよ。例えば笹嶋クンがお金を盗んじゃった話とか、八重山さんが辞めちゃう話とか、みっちゃんのお父さんが来て嘘のお見合いをする話とかあるじゃないですか。そういうたくさんあるエピソードの中で、単なるオムニバスにならないようにしていくことが大事だと。お芝居なのでいろんな伏線を張って、かつ盛り込み過ぎないように、それでいて一つの大きなストーリーになっています。

——物語は「ふくのや」のお家から始まるようですね。
 新しい話というか、新しい解釈も含みつつ、ドラマの世界観は壊さずに。役の深みとか、あのキャラクターだったらこんなこと言うだろうなとか、そこはきちんとつながっていて…。つまり“ドラマをリスペクト”してできていると思います。

−−ドラマと舞台の違いはどこに出そうですか?
 新しいエピソードもありますが、その人たちが舞台だとどういうキャラクターになるかな、というところでしょうか。宙乗りがあるとか、目に見えて分かりやすいものがあればいいのですが、そんなアクロバティックな作品ではないので(笑)。生で“あの世界(観)を観られる”というのが舞台版のいちばんの良さだと思うんですよね。もちろん、奇をてらわずに真摯に作るつもりですが、ぜったい想像を超えて来ると思いますよ。また超えないといけない!と思っていますから。

−−ドラマでもそうでしたが、実際の博多祇園山笠が登場する等、山笠が重要なポジションという点は期待したいです。
 山笠は二人の思い出という重要なモチーフ(釜山時代に子どもの山笠を作った)。博多に戻ってきてから本物の山笠に勇気をもらうということなので、そのシーンの二人を象徴する印象的なものとして山笠が出て来ます。ですので実際の山笠を舁く場面では、中洲流の皆さんと一般公募の方々に登場してもらいます。

−−福岡の人は山笠を普通に自分の目で見ているから、あれが舞台になるとどんなマジックがかけられるんだろうって楽しみですね。
 中洲流さんのご協力を得まして、実際の山笠をお借りすることになりました。ですが、どうやって動かすかは(取材の時点では)まだ思案中です。舞台上ではスピード感を出そうと思うと走り過ぎちゃうし、舞台奥から走ってくると客席に突っ込んじゃうし…「こんなのは山笠やなかっ」て思われないようにはしなきゃいけないですね。中洲流の皆さんに一つ一つ教えていただきながら準備を進めています。そもそも、みなさんに事故がないようにしないといけない。それだけは十二分に気を配ります。どの場面で出るかは観てのお楽しみ。重要な場面で出てくることは確かです。

−−博多祇園山笠振興会のみなさんとも協力しながら?…。
 そうですね。やっぱり神事ですから。軽々しく扱えないものなので、山笠自体もですが、道具だったり法被だったりというものは、きちんと正式にお借りします。地元の祭りを舞台で扱わせていただくということは、ありがたいことですし、プレッシャーでもあるので。そこは“まてがわんごと(間違わないように)せんといかんなあ”と思うとります(笑)。

−−博多の祭りの話でやっと博多弁が出ましたけど(笑)。最近「博多弁」ってブレイクしてませんか?
 華丸さん・大吉さんのおかげが大きいかも。陣内孝則さんや武田鉄矢さんもいらっしゃる…。テレビからよく聞こえてくるようになったからじゃないですかね。

−−酒井美紀さんも博多弁を?
 ええ、ちょこちょこ楽しんでやってらっしゃるようですよ。それに飲み込みが速いというか、やっぱり音で覚えてらっしゃって。こちらで、ふつうの“博多のおばちゃん”たちと話してる時に、いろんなこと研究されてる風でした。

−−役者さんが地元のおばちゃんと会話することがあるんですか?
 食事に行ったりして、そこの店員さんとかとですね。「『なんとかっちゃー』って、こういうことなんだ」っておっしゃってました、酒井さん。僕らがこんなんですよって言っても、自分の感覚を通して感じないと、言葉として出てこない。でも、方言って、何が正しいっていうのは実はないじゃないですか。“あの人がいいよう博多弁はちょっと違うもんね”っていうのはありますが、それでも“博多弁”になってるんですよ。博多弁らしきものはあると思いますし、そう思って舞台も作ってます。博多の匂いが出ればいいと思ってますんで、あまりガチガチに縛られないようにしてほしいと。博多のおばあちゃんが出てくれば自然とそういう言葉になるだろうし。あとは稽古場で華丸さんとか地元の出演者がたくさんいらっしゃるので、この方がもっと伝わりやすかろうとか、これはちょっと下品になり過ぎるやろうというのは稽古で修正していきますよ。

 

 

 

 終戦70年の年に。「川原俊夫」という人物の想いを伝えたい

−−今年は終戦70年という年ですが、そのあたりは何か意識されてますか?
 もちろんあります。戦時中や終戦直後は“ご飯が食べられなかった時代”。その後、みんなが食べられるようになったから、出し惜しみせずに明太子をみんなに配るようなシーンがあるんですよ。ご飯と戦争って密接なテーマなんですよね。主人公のモデルになっている「ふくや」の創業者・川原俊夫さんは、戦争で物もなかった時代にみんなが食の大切さを感じたから、食に関わる商売を始めて「本当にご飯を食べられるようになったらみんなに恩返ししよう」という発想の人なんです。人のために動いていく。戦争は辛い思い出だったけど、周囲の人たちと励まし合って絆ができていく。そんなふうに、主人公・俊之の考え方が作られている場面もあります。だから、戦争の話はありますけど、戦争を前面に押し出して描くことはありません。

−−では最後に。この舞台について、今だから言えるようなエピソードや裏話があったら教えてください。
 博多ですからね。僕は何かある毎にTNCのプロデューサーさんもそうされてましたが、何回も櫛田神社にお詣りに行きました。企画を立ち上げる時や、役をオファーしているとき時に「いいお返事が来ますように」とかね。

−−笑!ご利益はありましたか?
 ありましたよ!はい!

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いかがでしたか?

さて、お楽しみがもうひとつ!舞台で描かれている「ふくのや」のセットが、劇場ロビーにも建てられます!役者との握手会やサイン会、撮影会など、まだまだ未定ですが、そういったイベントも計画中とのこと。また、ロビーでは、劇中の「ふくのや」のパッケージで「ふくや」オリジナルの明太子販売も。

現在、チケット発売中です!ぜひぜひ足をお運びください。

めんたいぴりり 博多座版
3月6日(金)~29日(日)
会場:博多座
電話予約センター:092-263-5555
観劇料: A席12,000円/特B席9,000円/B席7,000円/C席4,000円
http://www.hakataza.co.jp/lineup/h27-3/

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