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Monthly Report! topics & recommend! vol.55【絶対に見逃したくない!「横尾忠則とアジア’89」展/福岡アジア美術館】

Monthly Report

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vol.55

【絶対に見逃したくない!「横尾忠則とアジア’89」展/福岡アジア美術館】

 

期間限定展示!

横尾忠則の精神世界に浸る


 

この秋、「福岡アジア美術館(通称:あじび)」のアジアギャラリーに、日本の美術家であり、グラフィックデザイナーとしてあまりにも有名な横尾忠則の展示コーナーが登場! 現在、リニューアル中の福岡市美術館が所蔵する作品の中から、アジアと関わりが深い15点を展示しています。横尾忠則に大きな影響を与えた三島由紀夫や篠山紀信との関係性など、知る人も知らない人も楽しめる企画は、あじびだからこそ実現したマニアックな内容が満載です!

 

アートを深読み

あじび研究所からスタート!

 

さっそく、エントランスから入場すると、正面に1枚の古めかしいポスターが展示されていました。ポスターのまわりには、何枚ものパネルが並び、その情報量に驚かされます。というのも、こちらはあじびの新たな試みのコーナー「あじび研究所」。気になる所蔵品を毎回一点だけ取り上げ、詳しいパネル解説などで丁寧に紹介していきます。

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A.H.マハヴァル ≪切望≫ 1996年

 

現在、展示されているのは、1966年のパキスタンで公開された映画のポスターです。当時のパキスタンは、映画産業が盛ん。特に60年代から70年代にかけては、年間80本~100本以上の映画が公開されるなど、人々の娯楽といえば映画という時代でした。当時は、インターネットもSNSも存在しない時代。映画を宣伝するには、ポスターが大きな役割を果します。そのため、ポスター用にスチール写真を撮影し、専門のデザイナーがポスターをデザインしました。パキスタンのカラーチーという街で製作された映画「切望」は、なんと75週間連続で興行収入1位を記録。南アジア全域で大ヒットしたそうです。

余談ですが(といっても、パネルにちゃんと記載されています!)、この映画に主演した男優はイケメンすぎて、女優の夫たちから共演NGにされ、遂には映画界を干されたのだとか…。ポスターのデザイン的な面だけでなく、その向こうにあるヒストリーや逸話まで深く掘り下げていくことで、その作品が興味深くなるとともに、親しみが湧いてくるから不思議です。

 

 

70年代から80年代の

横尾忠則と出会う

 

アジア近現代美術の展示を巡っていくと、スピリチュアルな横尾忠則の世界にたどりつきます。60年代末、ビートルズのインド訪問に衝撃を受け、インドの音楽を聴き、お香を焚き、ヨーガを行い、インドへの想いを募らせて制作したのが、インド製のお香のパッケージデザインを上下にあしらった≪聖シャンバラ≫シリーズです。こちらのシリーズは、まだインドを訪れる前に制作されたもの。インドに行きたいけれど、同時に怖い気持ちもあったところ、三島由紀夫から電話でインド行きを後押しされたそうです。その数日後に三島由紀夫が自決。最後に交わした会話に背中を押され、篠山紀信とともに初めてインドを訪れました。それ以来、90年代までインドに通い続けました。

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福岡市美術館所蔵品の≪聖シャンバラ≫シリーズ

 

もう1つ注目して欲しいのは、原画や製版フィルムと合わせて展示されているポスターです。「福岡アジア美術トリエンナーレ」の前身である「アジア美術展」は、福岡市美術館がオープンした1979年からスタートしました。それからほぼ5年毎に開催されていた「アジア美術展」の第3回目のポスターを手掛けたのが、横尾忠則なのです。

なお、その年、つまり1989年に横尾忠則は、「第4回バングラデシュ・アジア美術ビエンナーレ」にも参加し、大作を出品しています。その時の会場を訪れる横尾忠則の映像も、関係資料や本とともに展示しています。

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横尾忠則 「第3回アジア美術展」(ポスター) 1989年

 

福岡市美術館のリニューアルに伴い、所蔵品を一時預かりすることになり実現した今回の展示。70年代から80年代の横尾忠則の世界観に触れられるまたとない機会です。

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写真手前から、篠山紀信の写真集『横尾忠則そしてインド』と、バックパッカーのバイブル的存在として話題を集めた単行本『インドへ』。

 

 

見つけられたら

幸せになれるかも!?

 

「横尾忠則とアジア’89」展の後も、アジア近現代美術のコレクション展は続きます。植民地支配の歴史や宗教紛争、貧困など、命を脅かす危機感や社会問題をテーマに描かれた作品が並び、見応えもたっぷり。展示のラストを飾るのは、30年ぶりに福岡で開催される伝統的工芸品月間国民会議全国大会にちなんだ関連企画「手で考える」展です。糸や布、木、土などを素材に、手で考え、社会までも編み込むような手工芸的アプローチをとる作品を紹介しています。

最後に特筆すべきは、どこかに儚げに咲く≪菫(すみれ)≫の存在です。アジアギャラリーの最後から2番目の部屋。コーナーの奥まったところに、ひっそりと菫(すみれ)の花(といっても精巧に作られた木彫作品ですが)が咲いています。こちらは、須田悦弘の作品。本来あるはずのない場所に植物がある驚きや探す楽しみを感じて欲しいという作者。皆さんもぜひ探してみてください!

 

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ニンディティオ・アディプルノモ(インドネシア) ≪私はそんなジャワ人ではない≫ 2000-2001年/「手で考える」展より

 

 

さてさて、芸術の秋ということで、今後もあじびでは、さまざまな企画が予定されています。ぜひ注目して欲しい2つの企画展&イベントを紹介しますね。

 

次回予告!

「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」

11/23(金・祝)~2019年1/20(日)

 

インターネットやSNSがなかった時代。アジア各地で巻きおこった、独裁政権に抗する民主化運動、過酷な労働条件の改善運動、環境破壊への抗議など――。植民地時代の独立運動や反グローバリズム運動をはじめ当時の社会の問題をえぐりだし、遠隔地の人々との連携を求め、よりよい社会を作る行動をうながすために、木版画はアジアの近代化のなかで重要な役割を果しました。その役割は通常の美術作品をはるかに超えた「民主的メディア」であり、今日のSNSの先駆けともいえるのではないでしょうか。企画展では、中国から始まり、日本、ベンガル、インドネシア、シンガポール、ベトナム、フィリピン、韓国、マレーシアなどへ広がりを見せた木版画運動に関する作品・資料など約400点を紹介します。

福岡アジア美術館「闇に刻む光 アジアの木版画運動1930s-2010s」ポスター画像

 

 

アート、見つけよう!

「博多旧市街 まるごとミュージアム」

10/31(水)~11/4(日)

 

歴史を感じる舞台でアート作品を展示する屋外型アートイベント「まるごとミュージアム」。今年の3月に福岡城で開催されましたが、その第2弾は、博多旧市街エリアを舞台に開催します。作品を展示するのは、国内外から招へいされた6名と1組の作家たちです。牛嶋均(久留米在住の美術作家)、ストーリーボックス(ニュージーランドを拠点に物語を多彩な手法で紡ぎだすマルチメディア・スタジオ)、ヴ―・キム・トゥー(ベトナム・ハノイ在住の美術作家)、とよだまりさ(北九州在住の画家)、鈴木康広(東京在住の美術作家)、モー・ジアチン(中国・杭州在住の映像作家)、チュンリン・ジョリーン・モク(香港在住の映像作家)が、福岡アジア美術館をはじめ、公園や寺院、観光スポットなどに作品を展示。博多の旧市街を、芸術の秋に染めます!

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福岡アジア美術館
【住所】 博多リバレインセンタービル7F・8F
【電話番号】 092-263-1100
【営業時間】 10:00~20:00(ギャラリーへの最終入場は19:30まで)、カフェは11:00~
【定休日】 水曜(祝日の場合、翌平日)・年末年始(10/31はアートカフェのみ臨時オープン)
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/