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Monthly Report! topics & recommend! vol.60【2つの異なる展示で観るアジア美術の変遷/福岡アジア美術館】

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vol.60

 

【2つの異なる展示で観るアジア美術の変遷/福岡アジア美術館】

 


 

 

2月15日に総観覧者数500万人を達成した「福岡アジア美術館(通称:あじび)」。所蔵コレクションを展示する7Fのアジアギャラリーでは、「アジアネクスト―はじまりの物語」と「時代のモンタージュ―アジア映像の展開」といった2つの展示が行われています。

 

アジアネクストはじまりの物語

12日(水)~924日(火)

 

3月に新しく生まれ変わる「福岡市美術館」のリニューアル・オープンを記念して、同館でも胎動する未来を予感させるような、選りすぐりのアジアの現代美術を紹介。エントランスからすぐの展示では、西洋から油絵や写真などの美術や文化が流入して、変化を遂げていったアジアの近代美術の流れを系統的に展示しています。

 

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スペインによるカトリック教化やアメリカ人教師の到着などフィリピンの教育史を描いたカルロス・フランシスコ≪教育による進歩≫・1964年(下)。

 

そして、ここからが「アジアネクスト―はじまりの物語」のエリアで、まずは【誕生】をテーマにした作品からスタートです。こちらでは社会的あるいは生物学的な女性と男性の違いや立場について疑問を投げかける作品を展示。空間を大胆に使ったリン・ティエンミャオ(中国)のインスタレーション≪卵♯3≫は、出産直後の本人を撮影した写真から無数の球体が糸で繋がれています。これは女性が一生のうちに排出する卵子であるとともに、女性を妊娠・出産・育児に固定する社会的な重石であることを表現しているそうです。

 

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リン・ティエンミャオ≪卵♯3≫・2001年(下)。

 

続いては【子ども時代】のコーナー。ワン・ジンソン(中国)の≪標準家庭≫は、中国の「一人っ子政策」の中で生まれた7歳児と両親200組を同じフォーマットで撮影して画一的に並べたもの。家族計画をも統治する政治の力と、それぞれに違う家族の在り方に気付かされます。オノンギーン・ウルジンハンド(モンゴル)の≪父の不在≫は、父親が出稼ぎでいない家族の状況を色とりどりのパターンで暗示しています。

 

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ワン・ジンソン≪標準家庭≫・2011年(上)。
オノンギーン・ウルジハンド≪父の不在≫・2011年(下)。

 

そして次のコーナーは、成長過程で変態していく【変身】がテーマ。イー・ブル(韓国)の≪さなぎ≫は、まるで奇怪な生物である「モンスター」と機械化された「サイボーグ」の人体が融合したかのような作品で、その造形感覚はとってもクール。一方、タワン・ダッチャニー(タイ)の≪未来≫は、核戦争後の世界を描いたもので、とってもパワフルな作品です。

 

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イー・ブル≪さなぎ≫・2000年(上)。タワン・ダッチャニー≪未来≫・1989年(下)。

 

「アジアネクスト―はじまりの物語」エリアの最後は【はじまりの物語】。このコーナーの作品は、どれも何かのはじまり、あるいは何かを乗り越えた先にあるはじまりを告げています。ファム・ミン・チー(ベトナム)の≪人民に永遠の春をもう一度≫に代表される、ベトナム戦争中から戦後にかけて制作されたプロパガンダ・ポスターの原画もその一つです。インドで使われている低い腰掛けに亡父への思い出を表現したスボード・グプタ(インド)の≪29の朝≫では、29個ではなく30個の腰掛けが並べられています。30個目は喪が明けた朝、あるいは新たに踏み出した一歩を表しているのでしょうか。

 

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ファム・ミン・チー≪人民に永遠の春をもう一度≫・1975年など(上)。
スボード・グプタ≪29の朝≫・1996年(下)。

 

時代のモンタージュ―アジア映像の展開

117日(木)~326日(火)

 

アジアギャラリーの後半では「時代のモンタージュ―アジア映像の展開」の展示となります。「モンタージュ」とは、複数の映像の断片を組み合わせて連続したイメージを作りだす映像技法のこと。同館が所蔵する約3000点のうち映像作品は86点あり、その中から8作品が展示されています。

 

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映像作品のみを展示するのは今回が初めての試み。

 

ジャン・ペイリー(中国)やキム・グリム(韓国)などアジアにおける映像表現の先駆者たちの作品は社会批評性の強い作品が多く、閉塞的な社会に疑問を投げかけながら独自の手法で映像を駆使した実験的な作品が展示されています。

 

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ジャン・ペイリー≪いいようのない快感≫・1996年。

 

ディン・キュー・レ(ベトナム)≪南シナ海ピシュクン≫は、ベトナム戦争終結時に撤退するアメリカ軍のヘリコプターが次々と海に墜落していった出来事を再現したCGアニメーション作品。北米先住民が野牛を崖から落とす狩猟「ピシュクン」に例えています。

 

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ディン・キュー・レ≪南シナ海ピシュクン≫・2009年。

 

ドキュメンタリー映像作家のヤスミン・コビール(バングラデシュ)による≪葬儀≫は、「船の墓場」と呼ばれるバングラデシュ南東部チッタゴンの船舶解体場の映像作品。言葉による説明を一切行わずに社会問題を描き出しています。

 

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ヤスミン・コビール≪葬儀≫・2008年。

 

アジアギャラリーで展示されている「アジアネクスト―はじまりの物語」と「時代のモンタージュ―アジア映像の展開」では、まったく異なる表現技法によるさまざまな作品を観ることができます。アーティストによってアプローチはさまざまですが、アジア社会における時代の変遷をたどることができるでしょう。

 

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開館20周年記念イベントを開催。

 

3月6日(水)に開館20周年を迎える「福岡アジア美術館」では、同館所蔵作家で現代タイ絵画を代表するアーティストのパンヤー・ウィチンタナサーン氏をはじめ、国内外からアーティストや研究者を招いてスペシャルトーク「アジア発ローカル美術の現在」を3月9日(土)・10日(日)に開催。また、3月9日(土)、10日(日)には「リトル・ホァ」をデザインしたオリジナルクリアファイルを、各日先着50名にプレゼントします。

 

詳細はこちら

開館20周年記念トークイベント「アジア発ローカル美術の現在」
3月9日(土)〈極楽・地獄篇〉 http://faam.city.fukuoka.lg.jp/event/detail/752
3月10日(日)〈路上篇〉 http://faam.city.fukuoka.lg.jp/event/detail/753

 

福岡アジア美術館
【住所】博多リバレインセンタービル7・8F
【電話番号】092-263-1100
【営業時間】10:00~20:00(ギャラリー入場~19:30)、カフェは11:00~
【定休日】水曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/26~1/1)
【入館料】無料、コレクション展示(アジアギャラリー)観覧料:一般200円、高校・大学生150円、中学生以下無料※特別展観覧料は別に定めます
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/