感じるアートイベント、満載。いよいよ、ラストスパート!
第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014【攻略ガイド最終編】
いよいよ、ラストスパート!
本展の、絶対見逃せない!マストなポイントを山木学芸員が指南。
山木学芸員に直撃!
最後の最後に、山木さんの「見逃しちゃダメ!コレ、マスト!」教えてください!
福岡アジア美術館には、現在7名の学芸員が在籍しています。今回は、前編、後編を通じてトリエンナーレの見所をずっと指南いただいた山木学芸員(下写真)に、見逃せないチェックポイントを教えてもらいました。
コレ、マスト!①
ムン・ギョンウォン&チョン・ジュンホ(韓国/ビデオ:「妙香山館」)
■韓流ドラマも、アートなのです!
当トリエンナーレは「映像作品が多い」と前編でもお伝えしましたが、中でも、その美しさで山木さんが一押しなのが、22分9秒の映像「妙香山館」です。
「妙香山館」とは、北京にある仮想の北朝鮮食堂。一般庶民が韓国、北朝鮮、両方の統制なしに公然と会うことができる唯一の場という設定です。そこは食堂を超え、別の意味さえ存在する不思議な空間であり、ここで出会った人々の目に映る神秘的で美しい北朝鮮女性・オ・ヨンナンが鍵に。観る人を惹き込み、イデオロギーを超えた東アジアの未来を問います。出演しているハン・ヒョジュやコ・スは日本でもおなじみの韓流スターなんですよ。トリンナーレにはアートな韓流ドラマもあるのですね。
コレ、マスト!②
チェン・イージエ(台湾/アクリル・画布、ビデオ、コンピューターほか:「連合島」)
■あの“人気キャラ”がカラフルでポップなイメージに!
カラフルな同心円の絵画がならぶこのコーナー、実はこの同心円、インターネットで投票を行った上位50位の人気キャラクターが姿を変えたものなのです。使われている色を分析し同心円へと変換、特別な機械を使って描かれています。そう、集団的視覚記憶にうったえるアート作品で、マニア垂涎!衝撃的なアートとの出会いになるでしょう。
「連合島」のサイトでは現在も投票は受け付けており、好きなキャラクターを投票すれば、画像データが送られてきますので、ぜひお試しください。
コレ、マスト!③
プリラ・タニア(インドネシア/インスタレーション:「E(日本)」)
■後編で紹介した紙アートの断片が完成!
さて、後編で紹介したプリラ・タニアさんの作品、覚えていますか。福岡で集めた紙のパッケージを切り抜いて、食物・エネルキーの生産・消費・廃棄のサイクルを表現し、現代社会の問題を問いかけるというアートです。
「食品の生産に必要な化石燃料や電力の供給といった“成分”に、いかに食品生産が依存しているかを明らかにします」。キッチュでやさしく、それでいて力強いメッセージを放っている作品です。昔ながらの日本のくらしや風景と、工場や港など現代の日本が表されています。福岡の断片もぜひ見つけてみてください。
コレ、マスト!④
あのラボ(日本/映像、アニメ、ゲームなど:「時空間のしっぽ」)
■新感覚!イメージの錬金術
予想だにしていてないアートの表現に出会う。これがトリエンナーレの醍醐味です。福岡・九州大学出身のクリエイター4人が、メディアを駆使して観衆参加型の映像、アニメ、ゲームを開発。そのひとつがこの作品です。
まず、真ん中の鉄の棒にタッチしてスイッチオン。そのあとは数秒間、この空間を動き回ってみます。すると、歩いた分だけの「自分」がそこに映し出され、「自分」が増殖していき…そして、最後にはまた「自分」に戻る!その証拠に、ここには二人しかいないのに、壁には数人の人物が!
この作品であのラボが伝えたかったのは「過去の自分の像を映し出し、現在の自分から過去の自分へのインタラクションを許すことで、未来の自分に対して現在の自分がどう関わるか、を考える…」とか。しかし、なにはともあれ百聞は一見に如かず!この超感覚、体験してみて欲しいのです!コンセプトも大事だけど、ユニークな体感を得て感じること。それが一番なのですから。
コレ、マスト!⑤
ルー・ヤン(中国/アニメーション、ゲーム、写真など:「子宮戦士」)
■ゲーセンもあり?!アニメ×アートに超個性がイン!
なんと言っても、この作品、タイトルが「子宮戦士」ですからね。アーティストによれば「子宮の形状が起立して腕をヨコに広げた人間の形にみえることがインスピレーションとなっている…」。女性の子宮をキャラクター化した戦士が、さまざまな武器や技で敵と戦う、という衝撃の設定なのです。その絵面もネーミングも強烈!
男女の性差、人間と機械の臨界を問うコンセプトで、日本のアニメの影響が感じられます!展示の一角にはその世界観の中にリアルに引き込まれるゲーム機も設置されていたり。
トリエンナーレの面白さ、カラダの芯までわかってきました。芸術とか、美術といった正統派をぶったぎる、人間の五感フルスロットル!その境地までを堂々と、“感性”で表現できる超自由な世界、なのですよ…!
キッズのためのプログラム!
「きみとアートをめぐるはなし」
子ども連れでもアートを楽しめる企画!館内9カ所に設置された<ワークシート>は、作品の見方をわかりやすく教えてくれる仕掛けになっています。最後はその9枚のワークシートをホッチキスとテープでとめて完成。自分だけの一冊が出来上がり!
さあ、いよいよ今年のトリエンナーレもラストスパート!ぜひ足をお運びください。
第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014
〇日程=開催中~11/30(日)※水曜休館
〇場所=福岡アジア美術館全館
〇観覧料=ワンデーパス 一般1,500(1,000)円 高大生1,000(500)円
フリーパス 一般2,000(1,500)円 高大生1,500(1,000)円
※( )内は20人以上の団体、65歳以上の料金